Web3.0は花開くか、メタバース・NFT表舞台に

フィンテックエディター 佐藤史佳

2022年は世界のフィンテックが異業種との関わりを強め、さらに進化する年となりそうだ。ブロックチェーン(分散型台帳)が本格的に実用化の波に乗り、金融の「部品化」と非金融への「組み込み」が加速。世界の有望フィンテックの新規株式公開(IPO)も多数見込まれる。「技術・ビジネスモデル」と「資金調達とIPO」の2つの側面からトレンドを予想する。

注目したい4つのキーワード

今年注目しているのは「Web3.0とブロックチェーン」「BNPL」「組み込み型金融」「法人向けフィンテック」の4つのキーワードだ。

20年の秋頃からネット上で「Web3.0」という言葉が飛び交うようになった。企業が開設したホームページやウェブを見る「Web1.0」、企業が運営するSNS(交流サイト)などで自分の作成したコンテンツを発信できるようになった「Web2.0」に対し、Web3.0ではブロックチェーンを基盤とした分散型のネットワークが舞台になる。ここで個人が主体となり、トークン(電子証書)の形で資産を保有する世界がイメージされている。Web1.0でできることを「read(読む)」とすれば、2.0は「read,write(読み、書く)」、3.0では「read,write and own(読み、書き、持つ)」と表現される。

Web3.0という言葉自体は仮想通貨イーサリアムの共同創設者ギャビン・ウッドが14年に提唱したことで知られ、新しいものではない。アップルやグーグルに代表されるGAFAMなどのビッグテックがデータを独占することへの警戒から、中央集権ではない分散型システムを求める声が高まったことが背景にある。この1~2年はNFT(非代替性トークン)のように実際に売買される資産が登場し、Web3.0時代の本格的な幕開けを期待する声が出ている。

Web3.0時代の中核となりうるのが、仮想空間の「メタバース」だ。米ゴールドマン・サックスが12月に出したWeb3.0に関するリポートでは、メタバースがデジタル商品・サービスの市場を最大12兆ドル(約1300兆円)に拡大させる可能性があるとの試算を示した。メタバースにブロックチェーン技術は必須ではないが、親和性は高く、DeFi(分散型金融)やNFTが活況になると予想される。企業や一般の人々が参加し、メタバースでNFTを購入して暗号資産(仮想通貨)で決済するのが当たり前になる未来も来るかもしれない。

メタバースの一つ「TheSandbox」の画像

とはいえ、Web3.0はまだ形が定まっていない概念であることから、「単なるバズワード」といった批判もある。テスラ創業者のイーロン・マスク氏は12月下旬に「誰かweb3を見たことがある? 僕は見つけられない」とツイートした。ツイッター創業者のジャック・ドーシー氏も「Web3を所有するのはあなたではなくVC(ベンチャーキャピタル)やそのLP(VCへの出資者)。中央集権的組織がラベルを貼り直したものにすぎない」と暗にWeb3.0を推進するVCのアンドリーセン・ホロウィッツを批判した。

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